こんにちは。アマチュアカメラマンの”よーしゃん”です。
このところ、EV値(露出値)についての記事へのアクセスがとても多いため、今回はその内容について少し深掘りしたいと思います。
マニュアルモードで撮影してみたいけど、適正露出がわからない。
撮影シーンに最適なEV値(露出値)は、どうやって調べたらいいのかな?
本記事では、このような疑問をお持ちの方に向けて、EV値に関する解説と共に、撮影シーンに最適なEV値の調べ方を紹介します。
EV値に関する知識が深まると、マニュアルモードでも適正露出で撮影できるようになります。
その結果、被写界深度(ボケ具合)やシャッタースピード(動く物体の軌跡)を自由自在にコントロールできるようになり、思い通りの写真が撮れますので、ぜひ読んでみて下さいね。
それでは、早速解説していきたいと思います。
EV値(露出値)とは?
EV値(露出値)については、過去の記事でも解説しておりますが、F値1.0、シャッタースピード1秒、ISO感度100で撮影した時に適正露出となる明るさを基準(EV 0)として、“被写体がどれだけ明るいか?”を表した指標です。
これを、カメラ基準とした表現に置き変えると、“カメラ内のセンサーをどれだけ光にさらすのか?”を示す度合いとも考えることができます。
光にさらす度合いということは、当然ながら、絞り(F値)やシャッタースピード、さらにはISO感度の影響を受けて値が変化します。
ここで、絞り(F値)をAV(Aperture Value)、シャッタースピードをTV(Time Value)、ISO感度をIS(ISO Sensitivity)とおくと、EV、AV、TV、ISの間には、下記の式が成り立っています。
EV(露出値) = AV(F値) + TV(シャッタースピード) + IS(ISO感度)
※シャッタースピードとTVも同じことを表しています。
上で述べた通り、左辺のEV値が、右辺の絞り(F値)、シャッタースピード、ISO感度の影響により変化することが示されていますね。
この関係式を知っているのと知らないのでは、EV値に対する理解度がかなり違ってきますので、ぜひ覚えておいて下さい。
ただし、この式での計算は、全て段数で行なう必要があるので、その点はご注意下さい。
EV値(露出値)の一覧表
先ほど、絞り(F値)やシャッタースピードなどによってEV値が変化することを説明しましたが、その変化を表にまとめると、以下のようになります。
ちなみに、この表はISO=100に固定した場合のものです。
AV(F値)が大きくなる、もしくはTV(シャッタースピード)が速くなるほど、EV値が大きくなっていることがわかります。
カメラ側を基準に考えると、カメラに入って来る光の量が少ない状況ほど、EV値は大きくなります。
逆に、私達を基準に考えると、適正露出(写真が自然に見える明るさ)となる状況では、周囲が明るいほどEV値が大きくなるということです。
まずは、この感覚が重要です!
この感覚でいくと、ISO感度の段数は、次のようになります。
ここで注意すべきポイントは、ISO感度を上げれば上げるほど、EV値は小さくなるということです。
AV(F値)やTV(シャッタースピード)を上げると光量が減少するのに対して、IS(ISO感度)を上げると光量が増幅されるので、EV値の計算上ではマイナスになります。
ちなみに、ISO感度を変えた場合は、ISO100のEV一覧表にISO感度に応じた段数を足し合わせると、その状況に対応した形の表になります。
例えば、ISO=200なら表全体を-1段にして、下表のようになります。
EV計算では、プラスとマイナスが混乱することがよくありますが、カメラに入って来る光量を基準として考えると、理解しやすいかと思います。
撮影シーンのEV値(露出値)を調べてみよう!
EV値には、撮影状況に応じて、適正露出となる目安があります。
ただ、これらの値は単なる目安でしかなく、実際には同じ室内であっても、ライトの近くで撮る場合と遠くで撮る場合では、明るさが異なります。
ですので、マニュアルモードを使って適正露出で撮影する場合は、その場所のその明るさに応じたEV値を求め、カメラをセッティングする必要があります。
露出計というアイテムがあるが…。
撮影シーンに応じたEV値は、露出計という道具を使用すれば、簡単に測定することができます。
しかし、露出計はそれなりに高額ですし、アマチュアカメラマンにとっては、それよりもレンズやフィルターなどにお金を使いたいのが本音だと思います。
また、撮影時の荷物もなるべく減らしたいところです。
ということで、ここからは露出計を別途用意しなくても、簡単にEV値を調べることができる方法を紹介します。
カメラのAE(自動露出補正)機能を利用しよう!
現在のデジタルカメラには、ほとんどの場合、AE(自動露出補正)機能がついています。
これは、ある意味露出計のようなもので、カメラに内蔵された測光センサーによって周囲の明るさを検知し、適正露出となるEV値を自動計算する機能です。
実は、この機能を逆に利用すれば、撮影環境のEV値を簡単に求めることが可能です。
それでは、実際にやってみましょう!
まず、絞り優先モードに設定し、F値=4.0、ISO感度=200、にそれぞれセットして、1枚撮影してみます。
すると、カメラは”シャッタースピード=1/34秒”を選んできました。
※話を簡単にするため、1/30秒と考えます。
これらの値をもとに、ISO200のEV一覧表からEV値を調べると、このシーンに最適な値は”EV8”であることがわかります。
最適なEV値がわかれば、あとはマニュアルモードに変更して、同じEV値の範囲でセッティングするだけです。
実際に、マニュアルモードに変更し、F値=4.0、シャッタースピード=1/30秒、ISO感度=200、にセットして、1枚撮影してみます。
当然ですが、マニュアルモードでも同じ写真が撮れました。
この撮影シーンのEV値が8であることは既にわかっていますので、あとはEV8の範囲でF値やシャッタースピードを調節し、自分好みのテイストに変えていくだけです。
マニュアルモードで露出補正したいときは?
最後に補足情報として、マニュアルモードで意図的に露出オーバー気味やアンダー気味に撮影したいときの考え方について解説します。
いわゆる、露出補正したいときの話です。
露出補正というのは、あくまでAE機能を利用した場合において、カメラが検知したEV値を補正する機能になります。
ですので、マニュアルモードで撮影する場合は、そもそも露出補正という概念がなく、露出補正のツマミを回しても意味はありません。
AE機能での露出補正とEV値の関係
ここでは、露出補正の話をさらに掘り下げ、AE機能使用時に露出補正を行なった場合、EV値がどのように変化しているかについて見ていきます。
試しに、絞り優先モードにして、先ほどと同じ被写体を①露出補正+1.0EV、②露出補正±0EV(先ほどと同じ)、③露出補正-1.0EVで撮影してみます。
左側から①露出補正+1.0EV、②露出補正無し±0EV、③露出補正-1.0EVでそれぞれ撮影し、合成した写真を載せています。
先ほど、②露出補正±0EVの設定において、カメラはEV8を選んできましたが、今回はツマミを回すことにより、①+1.0EV、③-1.0EVの露出補正をかけていますので、カメラ内ではそれぞれEV7、EV9で撮影するように、自動的にセッティングが行われています。
今回は絞り優先モードに設定しているので、カメラは自動的に①1/15秒、③1/60秒のシャッタースピードを選んできました。
つまり、絞り優先モードでは、シャッタースピードを変化させることでEV値を増減し、写真の明るさを変えていることがわかります。
これが露出補正の正体です。
そのことを実証するために、マニュアルモードに変更し、全く同じ状況で①EV7、②EV8、③EV9となるよう、シャッタースピードを①1/15秒、②1/30秒、③1/60秒に調節し、撮影した写真がこちらです。
※F値=4.0、ISO=200に固定しています。
絞り優先モードで露出補正を行なった場合と同様に、マニュアルモードでも写真の明るさを変化させることができましたね。
まとめ
EVについて勉強すると、昔のカメラマンは非常に専門色が強い職業だったということをうかがい知ることができます。
今でこそ、AE機能を使えば、誰でも適正露出で撮影することが可能ですが、フィルムカメラの時代や露出計が無かった時代のことを想像すると、当時のカメラマンには相当な知識と経験が求められたのではないかと思います。
それに、今のデジタル時代では、多少露出合わせに失敗したとしても、後から画像編集ソフトで簡単に修正できます。
昨今の科学技術の進歩には、日々、驚かされるばかりですね。
今回は以上です。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
コメント