【カメラ講座】EV値(露出値)と段数計算を5分で理解しよう!

Camera

こんにちは。Pict Createの管理人“よーしゃん”です。

独学でカメラについて勉強しています。

これまで、F値(絞り値)、シャッタースピード、ISO感度について解説してきましたが、今回はそのまとめとして、EV値(段数)について紹介したいと思います。

焦点距離60mmの単焦点レンズを使っての手持ち撮影。構図とボケ具合(F値)が決まり、さぁ撮影しようという時、シャッタースピードが1/15秒とやや遅くなってしまった…。

カメラ初心者A
カメラ初心者A

このままでは手ブレしてしまうけど、ISO感度をどこまで上げたらいいのかな?

正解: ISO感度を2段階上げれば、手ブレに耐えうるSS 1/60秒になる。

公園を走り回る犬の撮影。被写体ブレしないように高速シャッター(1/2000秒)で撮影したいけれど、現在の明るさでのシャッタースピードは1/250秒とかなり遅い…。

カメラ初心者B
カメラ初心者B

シャッタースピードを1/2000にするには、F値やISO感度をどうすればいいのかな?

正解:F値もしくはISO感度を合計+3段となるように調節し、光量を増やす。

このような質問の答えがすぐに出てこないという方は、とりあえず本記事を読んでみて下さい。

EV値や段数についての考え方を理解すると、一眼カメラでの撮影がもっと簡単で楽しいものになりますよ。

それでは、さっそく解説していきます。

EV値とは?

EV(Exposure Value)とは露出値のことです。”Value”という英語は”値”という意味なので、EV値というと“値”という意味が被っていますが、日本では一般的にそう呼ばれています。

EV値は、F値1.0、シャッタースピード1秒、ISO感度100で撮影した時に適正露出となる明るさを基準(EV 0)として、被写体がどれだけ明るいかを表した指標です。

そして、F値をAV(Aperture Value)、シャッタースピードをTV(Time Value)、ISO感度をIS(ISO Sensitivity)とおくと、EV、AV、TV、ISの間には、下記の式が成り立っています。

EV(露出値) = AV(F値) + TV(シャッタースピード) + IS(ISO感度)

※F値、絞り値、AVは、全て同じことを表しています。
※シャッタースピードとTVも同じことを表しています。

F値、シャッタースピード、ISO感度のいずれかを1段明るくすると光量が2倍になるので、それらの和であるEV値も1段変化するごとに光量が2倍ずつ変化します

EV値の目安

被写体(撮影環境)によって最適なEV値は異なっており、ざっくりと下表の様な目安があります。

EV値(目安)被写体(撮影環境)の例
16 快晴のビーチ、雪景色
15
14晴天
13
12 曇り、日陰
11
10 雨天、スタジオ、ナイター
9
8 明るい室内、夕暮れ、体育館
7
6 室内、オフィス
5
4 明るい夜景、暗い室内、花火
3
2 遠くの夜景、映画館
1
0 薄明り、夜中の住宅街
-1
-2月夜
-3
-4星空

撮影環境に適したEV値となるようにカメラのセッティングを行なうことで、適正露出で撮影を行なうことができます。

一方で、EV値が大き過ぎると露出オーバーとなり、写真全体が白っぽくなってしまいます。逆に、EV値が小さ過ぎると露出アンダーとなり、写真全体が黒っぽくなってしまいます

ただ、上記の値は、あくまでもマニュアルでEV値を設定する場合の目安です。

最近のデジタルカメラには、自動露出補正機能(AE:Automatic Exposure)が搭載されているので、実際には、プログラムオートモード(Pモード)、絞り優先モード(AやAvモード)、シャッタースピード優先モード(SやTvモード)で撮影を行なう場合が多いです。したがって、EV値の調節は、カメラ任せの場合がほとんどです。

マニュアルモード(Mモード)以外に設定している場合は、AE機能によってカメラが自動的に露出補正を行ない、撮影状況に応じた適正露出(EV値)を選んでくれるので、その設定でF値、シャッタースピード、ISO感度を変えたとしても、見かけ上の明るさが変化することはありません

つまり、カメラが決めてくれたEV値に対して、撮影者がF値、シャッタースピード、ISO感度を合わせ込む必要があります。

その際に、“段”という考え方が重要になってきます。

EV値計算(段理論) について

先程も述べましたが、撮影のパラメーターである、F値(絞り具合)、シャッタースピード(露光時間)、ISO感度(増幅度合い)の段数は、全て光量が2倍ずつ変化するように定義されています

そのため、前述の式にそれぞれの段数を代入することによって、カメラのセッティングを簡単に行なうことができます。

EV(露出値) = AV(F値) + TV(シャッタースピード) + IS(ISO感度)

※全て段数で計算して下さい。

例えば、晴天時に絞り優先モードに設定し、F 8.0(+6段)、ISO 100(±0段)で撮影しており、この時カメラが自動的にEV 14(+14段)を選んだとします。

これを式に代入すると、「14=6+?+0」となるので、シャッタースピード(?の部分)は自動的に1/250秒(+8段)になります。

さらにその状況で、シャッタースピードを1/1000秒(+10段)に速めて撮影したいときは、どうすればよいのでしょうか?

撮影環境が変わらない限り、カメラは同じEV値(+14段)を選びますので、左辺は固定です。

そして、シャッタースピードを2段速める分、光量は1/4になりますので、F値を開放するかISO感度を上げて、光量を4倍(+2段)にする必要があります。

解決策は以下の3パターン!
  • ISO感度はそのままで、F値をF4.0(+4段)にする。式は「14=4+10+0」となる。
  • F値をそのままにして、ISO感度をISO 400(-2段)にする。 式は「14=6+10-2」となる。
  • F値をF5.6(+5段)にして、ISO感度をISO 200(-1段)にする。式は「14=5+10-1」となる。

いずれもEV値と各パラメータの段数の総和がイコールの関係に保たれていることがわかります。

もっと簡単に言えば、イコールの関係さえ保たれていればよいので、「シャッタースピードを2段速めたから、F値かISO感度で光量を2段分補わないといけないね。」くらいの感覚でOKです。

F値〇〇が〇〇段というところまで覚える必要はありません。

EV値計算(段理論)は、単なる”光量の帳尻合わせ”です。

そして、どのパラメータで光量を補うかによって、写真のテイストが変わってきます。

シャッタースピードを速めたことで減った光量をISO感度で補えば、画質は下がりますが被写界深度(ピントが合う範囲)を維持することができます

一方、それをF値で補えば、被写界深度は狭まりますが、高画質を維持することができます

露出補正とは?

上記の関係式とは別に、カメラが決めたEV値そのものを修正する機能が露出補正です。

露出補正を行なうと、自分の好みに合わせて、意図的に露出オーバー気味、もしくは露出アンダー気味に調節することができます。

露出補正は、晴天時の撮影でカメラがEV 14(+14段)を選んできたとしても、意図的にEV 13やEV 15の明るさで撮影しているような感じです。

一般的な一眼カメラでは、露出補正は1/3段ずつ調節できるようになっており、露出補正を行なうとEV値そのものが変化するので、見た目にも写真の明るさが変化します

例えば、F 8.0(+6段)、シャッタースピード1/250秒(+8段)、ISO 100(±0段)での撮影において、EV値を14から15に1.0露出補正すると、「15≠6+8+0」となるので、右辺の足りない分をカメラが自動的に判断し、F値、シャッタースピード、ISO感度のいずれかを1段分補正してくれるようなイメージです。

露出補正を行なうとき、カメラがどのパラメーターで光量を補うかは、選択しているモードによって異なります。例えば、絞り優先モードなら、F値以外のパラメーターで補正してくれます。

ちなみに、マニュアルモードでは、撮影者自身が各パラメータを全て設定してEV値を決めるので、露出補正はありません。

まとめ

  • EV値は、F値1.0、シャッタースピード1秒、ISO感度100を基準として、被写体の明るさを表した指標である。
  • 最近のデジタルカメラには自動露出補正機能が搭載されており、EV値の選択はカメラが自動的に行なう。
  • F値、シャッタースピード、ISO感度の段数は、全て光量が2倍ずつ変化するように定義されている。
  • EV値と各パラメータの段数の総和は、イコールの関係に保たれている。
  • 露出補正とは、カメラが決めたEV値そのものを修正する機能であり、写真の明るさを調節できる。

今回は以上です。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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※本記事では、akizouさんによる写真ACからの写真を使用しています。

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