ピクトクリエイト管理人の”よーしゃん”です。
今回は、F値(絞り値)についてまとめました。
F値について理解すると、ぼけ具合をコントロールできるようになりますので、表現の幅が一気に広がります。
一眼カメラでプロっぽい写真が撮りたいという初心者の方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
絞りはカーテンのようなもの
絞りとは、レンズに取り付けられている絞り羽根を組み合わせて、カメラのセンサー部に入る光を調節する仕組みです。
レンズを部屋に例えて、有効口径(レンズ前玉の直径)を窓の大きさ、絞り羽根をカーテン、センサーを観測者、焦点距離(レンズ~センサー間の距離)を窓からの立ち位置、と考えると理解しやすいです。
カーテンを開くと、たくさん光が入ってきて部屋が明るくなります。部屋が明るいと、シャッター時間が短くても綺麗な写真が撮れる、つまりシャッタースピードを速くすることができます。
逆に、カーテンを閉めると、光量が少なくなって部屋が暗くなり、写真を撮るために時間を要します、つまりシャッタースピードを遅くする必要が出てきます。
F値は開き具合を数値化したもの
F値(Focal Number)というのは、絞り羽根(カーテン)の開き具合を数値化したもので、焦点距離(窓からの立ち位置)を有効口径(窓の大きさ)で割った値のことを指します。当然ながら、カーテンを開けば開くほど部屋は明るくなります。
F値は具体例に下表の数値となり、F値が小さい方が絞り羽根が開いおり、レンズが明るいことを意味します。
F値 | 1 | 1.4 | 2 | 2.8 | 4 | 5.6 | 8 | 11 | 16 | 22 | 32 | √2のn乗 |
段数 | 0 | +1 | +2 | +3 | +4 | +5 | +6 | +7 | +8 | +9 | +10 | n |
光量 | 多い | 少ない |
※nは0以上の整数
F値は一般的に”F〇.〇”のように数値で直接呼びますが、”〇段”という呼び方もあります。シャッタースピードやISO感度とのバランスを取る際、〇段という見方が非常に便利ですが、ここでは割愛します。
また、絞りを1段階開ける(F値を1段階下げる)とレンズの面積(光量)は2倍になる性質があります。レンズは円形であり、その円の面積は“S=πr2(S:面積、r:半径)”で表されるので、レンズの面積(光量)を2倍にするためには、レンズ半径を√2倍にする必要があります。
したがって、レンズの開き具合(レンズ半径)を示すF値は√2の倍数になっています。
f値と被写界深度(ボケ具合)の関係
被写界深度とは、ピントを合わせた際、被写体周辺のピントが合っているように見える範囲のことです。要するにボケ具合を表します。
F値を調節する最大の意義は、被写界深度(ボケ具合)を変えられることです。
F値を小さくすると被写界深度が狭まり、ピントの合ってない部分がボケて写ります。逆に、F値を大きくすると被写界深度が広まり、画面全体にピントが合うようになります。
このボケ具合によって、同じ風景でも全く違う印象に写ります(下表)。
F値 | ~4.0 | 5.6 | 8~ |
ボケ具合 | 多い | 普通 | 少ない |
写真の印象 | ふんわり、かわいい 暖かい、柔らかい やさしい など | はっきり、かっこいい クール、さびしい 落ち着いている など |
また、写真の用途に応じてF値を調節するケースもあります。
例えば、ポートレート写真などのように主役を引き立てたい場合は、F値を小さくして周囲をボカします。一方、風景写真や集合写真のように画面の隅々までピントを合わせたいときは、F値を大きくします。
レンズの性能を最大限に引き出すF値とは
レンズは、一般的に中央部よりも周辺部の方が歪みが大きく性能が低いため、 選択するF値(絞り具合)によってレンズの性能が変わることがあります。
そして、レンズの性能を最大限に引き出すF値は8~11といわれています。
というのも、F値を8~11に設定する(ある程度絞る)とレンズ中央の性能が高い部分のみ撮影に使用できるので、そのレンズのポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
感覚が鋭い方は、「レンズ中央部の方が性能が高いなら、もっと絞ればよいのでは?」と思うかもしれませんが、実際はそうではありません。
F値を絞り過ぎると、光の回折(波が障害物の影の部分まで回り込んで伝わる現象)が起こり画質が低下します。
したがって、F8~11に設定したときに最もレンズの性能が高く、風景写真などを撮影する際には、定番の値とされています。
F値の目安について
・F1.4~2.8
ボケを大きくしたいときや、暗所で手ブレせずに撮りたい場合、この値に設定します。
・F4~5.6
シャッターチャンスを逃したくない場合など、この値に設定します。シャッタースピードもそれなりに速く、思い付きで撮っても手ブレしないレベルです。
・8~11
風景などをはっきり撮りたい場合、この値に設定します。この辺りからシャッタースピードが遅くなってくるので、手ブレし易く、三脚が必要になります。
・F14~22
太陽やライトの光芒を出したいとき、光の軌跡や水の流れを表現したいときなど、この値に設定します。シャッタースピードはかなり遅くなり、手持ち撮影は現実的に不可能なレベルなので、三脚が必須となります。
まとめ
- 絞りを開くと光量が増え、絞りを閉じると光量が減る。
- F値は絞りの開き具合を数値化したもので、1段開けると光量は2倍になる。
- F値を調節することにより、被写界深度(ボケ具合)を変えられる。
- レンズの性能を最大限に引き出すF値は8~11。
- 撮影する状況によって、最適なF値がある。
今回は以上です。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
※本記事では、n*****************mさんによる写真ACからの写真を使用しています。
コメント