こんにちは。”よーしゃん”です。
一眼カメラで撮影していると、日中にもかかわらず、写真の四隅が暗く写ってしまうことがあります。
ポートレート写真(背景をぼかした写真)や日の丸構図(被写体を中央に配置した構図)で撮影した場合などでは、四隅が暗い方が被写体を引き立てることもありますが、風景写真のように全体にフォーカスした作品や、淡いトーンの作品などでは、それによって写真が台無しになってしまいます。
私は始めてこのような現象を目にしたとき、「カメラの故障かな?」とか「何かの設定を間違えたかな?」と思ってしまったのですが、調べてみると“ケラレ”や“口径食”と呼ばれる現象によるものだそうです。
そして、なぜそのようなことが起こるのか調べていく内に、その対処法についても知ることができました。
ですので、今回はその知識について、みなさんと共有できればと思います。
また、既に四隅が暗くなってしまった写真のリカバリー方法(暗くなった部分を目立たなくする方法)についても簡単に解説します。
それでは、どうぞご覧下さい!
ケラレとは?
ケラレとは、レンズフードやフィルタの枠が写り込むことによって、写真の四隅に黒い影ができてしまう現象です。
その他にも、フラッシュを使用した際、レンズフードなどの影ができてしまうことがありますが、これもケラレの一種といわれています。
ケラレの語源はラテン語のCelare(隠す、隠蔽する)であり、本来カメラ内のセンサーに届くはずの光が、何らかの物体によって遮られてしまうことを意味します。
カメラマンの間では、「ケラレる」などと言われていたりします。
ケラレが発生しやすい条件
ケラレには、カメラのセッティングが大きく関係しています。
一般的に、画角が広ければ広いほどケラレが発生しやすく、画角の狭い望遠レンズよりも画角が広い広角レンズを使用した場合の方がケラレやすくなります。
また、センサーサイズによっても画角は変わりますので、センサーが小さいAPS-C搭載機よりもセンサーが大きいフルサイズ搭載機の方がケラレやすいです。
一方、フラッシュ使用時のケラレに関しては、カメラに内蔵されたフラッシュを使用したときに起こりやすいです。
口径食とは?
口径食とは、レンズの前玉に対して斜めから入った光の一部が、レンズの枠や鏡筒に遮られてセンサーまで届かなくなる現象であり、周辺減光(Optical Vignetting)の一種と言われています。
ケラレと同様に写真の四隅が暗くなるのですが、ケラレのようにはっきりとした影ができるのではなく、中央よりも少し暗くなる程度です。
周辺減光には、口径食の他にコサイン4乗則(光の性質を表す法則)なども関係しているのですが、その詳細については省略します。
口径食が発生しやすい条件
口径食の起こりやすさは、レンズの性能によって異なります。
口径食には口径の大きさと鏡筒の長さが関係しているので、一般的には、口径が大きければ大きいほど、もしくは鏡筒が長ければ長いほど、発生しやすいと言われています。
ということは、鏡筒が短い単焦点レンズよりも鏡筒が長いズームレンズの方が口径食が起こりやすいということです。
下の写真のように、鏡筒の中を斜めから除くと、死角(向こう側が見えない部分)が生じており、レンズの向こう側が円形ではなく楕円形に見えています。
これこそが”口径による食われ”であり、写真の四隅が暗くなる原因です。
また、口径食には、背景の玉ボケを楕円形にする性質もあります。
ケラレと口径食の違い
ケラレも口径食も写真の四隅が暗くなる点ではよく似ていますが、発生している箇所と対処法が全く異なります。
ケラレはレンズフードやフィルタ枠など、レンズの外側の部分で発生している現象です。したがって、フードやフィルタを変えるなどして、物理的に対処することができます。
また、根本的な解決策ではないのですが、ケラレは不要なものの映り込みなので、絞りを開くと(F値を小さくすると)写真の四隅がボケて目立たなくなります。逆に、絞りを閉じると(F値を大きくすると)ケラレた部分にまでピントが合い、余計に目立ってしまいます。
ケラレ対策としては、フードやフィルタを変更するのが一番ですが、使用しているレンズに合うものが無ければ、全て取り外して撮影しましょう。
一方、口径食はレンズの枠や鏡筒、いわゆるレンズの内側の部分で発生している現象です。これはレンズそのものの構造に由来する部分なので、物理的には対処できません。
口径食については、絞りを閉じて(F値を大きくして)レンズの中央部のみ使用することで、ある程度回避できます。逆に、絞りを開くと(F値を小さくすると)光が欠ける部分が多くなり、周辺減光(写真の四隅の暗さ)が目立つようになります。
口径食による周辺減光を抑えるために、レンズメーカーは多種多様なレンズを開発してきていますが、性能が良いレンズはやはり価格も高めです。
ケラレの発生を確認する方法
レンズやフィルタを新調し早速撮影!というときに、ケラレてしまってがっかり…。
なんてことがないように、セッティングを変えたときは、自宅で事前にケラレの有無をチェックしておくことをオススメします。
方法はとてもシンプルで、絞りを変えながら白い壁や白い紙などを写すだけです。
これだけで、ケラレの有無をチェックできます。
撮影に出かける前には、写真の四隅をチェックするようにしましょう。
ケラレを防ぐためには?
上で述べたように、ケラレはカメラのセッティングを変えることで簡単に解消することができます。
以下にその例を示しましたので、ケラレが気になる方は参考にしてみて下さい。
【対処法1】レンズに合ったレンズフードを使用する
レンズには、それぞれ相性の良いレンズフードがあります。
例えば、花形のレンズフードは、ケラレが発生しにくいように四隅をカットした形をしており、広角レンズととても相性が良いです。
ただ、花形フードを装着する場合は、向きを間違えてしまうと全く意味のないものになってしまいます。
花びらの部分(出っ張った部分)が上下左右にくる方向が正しいので、付ける向きには注意しましょう。
一方、丸形のレンズフードは、画角が狭い望遠レンズととても相性が良いです。
花形よりも丸形のフードの方が、強い日差しを遮ってフレアやゴーストを抑える効果が大きいので、ケラレないのであれば丸形のフードであるに越したことはないです。
【対処法2】フィルタを重ね付けしない
フィルタ枠によるケラレが気になる場合は、フィルタを重ね付けしないのが得策です。
ただ、光量を抑えつつも散乱光をカットしたいときなど、NDフィルタとPLフィルタを重ね付けする場面は多々あるかと思います。
そんなときは、薄型のフィルタがオススメです。
これは主に広角レンズ用に作られたもので、製品に“薄型”や“W(Wide)”と記載されており、通常のフィルタよりも枠が薄いことが特長です。
【対応策3】フラッシュ使用時にフードを外す
カメラに内蔵されたフラッシュを使う場合は、レンズフードを外すようにしましょう。
そうすることで、フードの影ができてしまうのを防ぐことができます。
もし資金的に余裕があるのなら、思い切って外付けのフラッシュを購入してみるのも良いかもしれません。
四隅が暗くなってしまった写真のリカバリー方法
ケラレによってフード等が写り込み、写真の四隅が真っ黒になってしまったときは、正直なところトリミングするしか対処法はありません。
ただ、軽度のケラレや周辺減光が原因で写真の四隅が暗くなっている場合は、Photoshopなどの画像編集ソフトを使うことで簡単に修正することができます。
ここでは、Photoshopを使った方法を紹介します。
①楕円形選択ツールで写真全体を選択する
②選択範囲タブの選択範囲を反転をクリック
③レイヤーパネルを表示し、調整レイヤーを新規作成の明るさ・コントラストをクリック
④写真四隅の暗い部分の明るさを上げて、目立たなくする
⑤レイヤーパネルのレイヤーマスクサムネイルをダブルクリック
⑥ぼかしを300~400pxまで上げて、明るさの境界をぼかす
⑦ファイルを保存して完成!
以上です。
まとめ
・ケラレとは、レンズフードやフィルタの枠により、写真の四隅に黒い影ができる現象
・望遠レンズよりも広角レンズ、APS-C機よりもフルサイズ機の方がケラレやすい
・ケラレはレンズ外側で発生しており、絞りを開くとボケて目立たなくなる
・口径食とは、斜めから入った光がレンズ枠や鏡筒に遮られ、写真の四隅が暗くなる現象
・口径が大きいほど、もしくは鏡筒が長いほど、口径食が発生しやすい
・口径食はレンズ内側で発生しており、絞りを閉じ、レンズ中央を使うことで抑えられる
・最適なレンズフード、フィルタなどを選ぶことで、ケラレを防ぐことができる
・写真の四隅が暗くなった場合、Photoshopなどの画像編集ソフトで修正可能
今回はここまでです。本記事の内容が、みなさんのお役に立てば幸いです。
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